鉛筆で紙に字が書ける理由

鉛筆はインクを出していないのに、紙の上へはっきり線を残せます。秘密は、芯と紙が触れる場所で起きる小さな摩耗と材料移動です。芯から離れた黒鉛を含む粒子が、紙の細かな凹凸とセルロース繊維の間にとどまり、目に見える筆跡を作ります。

結論:摩擦で芯の粒子が紙へ移る

鉛筆を紙へ押し当てて動かすと、接触面の摩擦で芯が少しずつ摩耗します。黒鉛を含む微細な粒子や薄片が芯から離れて紙へ移り、それらが連続して付着することで線として見えます。紙そのものが黒く変色するのではなく、芯の材料が表面へ堆積しているのです。

紙の凹凸と繊維が粒子を受け止める

紙は平らに見えても、顕微鏡で見るとセルロース繊維が絡み合った粗く多孔質な表面です。研究では、鉛筆を滑らせる摩擦によって黒鉛が紙へ移り、表面の粗さに応じて吸着・保持される様子が観察されています。粒子は繊維の間へ入り込み、重なって筆跡を作ります。

鉛筆の『芯』は鉛ではない

一般的な黒鉛鉛筆の芯は、黒鉛粉末を粘土などの結合材料と混ぜて焼き固めた複合材料です。黒鉛は炭素からなる層状の結晶を持ち、摩擦によって細かな薄片として移りやすい性質があります。名前に『鉛』が残っていますが、通常の黒鉛鉛筆の筆記材は金属の鉛ではありません。

HとBで硬さや濃さが違う

芯の配合と製造条件が変わると、硬さ、摩耗量、紙へ移る粒子の量が変わります。一般にH側は硬く淡い線、B側は軟らかく濃い線を作りやすくなります。摩擦・摩耗試験では、芯の硬さによって紙へ移る摩耗粒子の量や埋まり方が異なることが報告されています。

消せるのは表面の粒子を取り除けるから

鉛筆の線は主に紙の表面や繊維の間にある粒子なので、消しゴムでこすると粒子を紙からはがし、消しゴムのくずへ取り込めます。ただし強く書くと紙の繊維を押しつぶしたり粒子が深く入り込んだりするため、跡が残ることがあります。

安全上の注意

鉛筆の先を人へ向けたり、削った直後の鋭い先端で遊んだりしないでください。短くなった鉛筆や小さな芯は乳幼児の誤飲に注意してください。芯や削りくずを口に入れず、電気実験など本来と異なる用途に使う場合は専門家の指導と適切な安全対策を優先してください。

参考資料

次回のテーマ

次回は『卵をゆでると白身が固まる理由』を解説します。

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