浮かぶ氷が溶けても水位がほぼ変わらない理由

水を入れたコップに氷を浮かべ、今の水面に印を付けます。氷が溶けたあと、水面は上がるのでしょうか。真水の中に真水の氷が自由に浮いている理想的な条件では、水位はほぼ変わりません。鍵は、浮いている時点ですでに氷の重さが水へ反映されていることです。

結論:溶ける前から同じ重さの水を押しのけている

アルキメデスの原理では、浮いて静止した物体が受ける浮力は、その物体が押しのけた液体の重さに等しくなります。氷が浮いているなら、氷は自分自身と同じ重さの水をすでに押しのけています。つまり、水面下にある氷の部分が押しのける水の質量は、氷全体の質量と等しいのです。

溶けた水が、押しのけていた体積を埋める

氷が溶けても、蒸発やこぼれがなければ質量は変わりません。溶けてできた真水の体積は、もともと氷が押しのけていた同じ質量の真水の体積と一致します。水面から出ていた氷の部分だけを見て『その分が追加される』ように感じますが、氷は水より密度が小さいため、溶けると全体の体積が小さくなります。この二つがちょうど釣り合います。

成立する条件と、家庭でずれる理由

この説明は、真水に同じ成分の氷が自由に浮き、コップや底に触れず、氷の中に石などがなく、溶けた水がこぼれたり蒸発したりしない場合の理想化です。測定では温度による水と容器の体積変化、氷に付いた水滴、表面張力、目盛りの読み取りなどで小さな差が出ます。そのため日常の表現では『ほぼ変わらない』とするのが適切です。

海水と陸上の氷は同じではない

NASAは、真水の氷が塩水の海に浮く場合、溶けた真水と押しのけた海水の密度差により海面をわずかに上げる効果があると説明しています。一方、陸上の氷河や氷床は海に浮いて支えられているわけではありません。陸上の氷が溶けて海へ流れ込めば、新しい水が加わるため海面上昇につながります。コップの実験を地球全体へそのまま当てはめないことが大切です。

安全上の注意

実験は割れにくい透明な容器を安定した台に置き、こぼれた水はすぐ拭いてください。ガラス容器を急に加熱・冷却したり、満水の密閉容器を凍らせたりしないでください。電気製品の近くでは行わず、幼い子どもは大人と一緒に観察してください。

参考資料

次回のテーマ

次回は『冷たい飲み物のコップの外側に水滴がつく理由』を解説します。

VOICEVOX:四国めたん

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